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* 相場の基本は3段の動き * 株価は、3段階に分けて上昇するのが基本といえよう。ここでは、その意味を理解していただきたい。
株価の流れも同様だ。実際の株価の上昇が、必ずしも3段で終了するわけではない。2段の上昇もあれば、4段、5段と上昇し続ける相場もある。基本となる3段の動きをしっかり理解することによって、それ以外の動きも分析できるようになるのだ。 実際に株価が3段上げで上昇した例として、図11の日産自動車(東証1部7201)をみてみよう。この時の上昇をファンダメンタルズから検証すると、おおよそ次のような上昇と判断できよう。 日産自動車がフランスの自動車会社であるルノーの出資を受け、その会社から迎え入れた新社長(CEO)がカルロス・ゴーン氏だ。ここでの上昇は、そのゴーン氏が就任後に打ち出した「日産リバイバルプラン」が評価されていく過程での上昇といえるであろう。 しかし、そのプランが発表された1999年10月から、株価が上昇したわけではない。実際には発表直後から株価は下がりはじめ、直近の高値から2000年2月の安値まで株価は半分以下になったのである。ルノーと提携後に大きく上昇してきた株価だったが、多くの投資家はその再生を具現化したリバイバルプランをうまくいかないと判断したようだ。つまり、ここが日産自動車の株価の限界とした投資家の売りの力が、株価を大きく下落に転じさせたのであろう。 その後400円付近で何度か上昇下落を繰り返した後、2000年4月ごろから株価は上昇に転じたのである。しかし、この上昇局面では日産自動車に関する良いニュースはあまり聞かれなかった。どちらかといえば、リバイバルプランによって下請けの中小企業の経営が厳しくなるとか、工場閉鎖で地域経済や従業員の厳しい現実を、日本経済の悪化に重ね合わせた特集がさまざまなメディアに取り上げられていたのである。 その後に発表された良いニュースは、リバイバルプラン発表の1年後、2000年10月30日に配信された、「過去10年間で最高の連結営業利益見込み」というものだろう。しかし、株価はそのニュースが発表される直前に2段目の急騰をして、そのニュースを境に下落に転じたのである。 その後、2001年3月に村山工場を閉鎖、同年5月には決算で過去最高の利益を計上するなど、その実現性を疑問視する投資家が多かったリバイバルプランが、着実に実行されていることや、収支関係も劇的に改善されていることがニュースとして連日配信されていたのは、株価が安値をつけてから1年以上経過した頃だ。 ニュースや、雑誌の推奨銘柄情報を銘柄選定の判断材料として投資をおこなっている投資家が、日産自動車で大きな利益を上げることはたいへん難しいことがおわかりいただけたであろうか。 日産自動車をよく知る人間の数は膨大である。その社員、あるいは下請けや関連会社の社員、その家族、友人などだ。その中で株式投資を実際におこなっている人、あるいはおこなおうとしている人は相当いるであろう。 会社がどのような雰囲気なのか、景気がどうなのかを最も敏感に感じとることができるのは、そこで働いている人間である。社長が代わって、社内がどうなってきたのか、社長の方針はこの会社を再生できるものであるのか、社員同士の議論も生じるであろう、他の部門の変化も耳にするはずだ。もちろんショールームに来るお客が増えたかどうかなどの、直接的な変化を感じることができるのも、社員だ。日産自動車は変われると確信し、株を買ってくるのである。 一万株未満であればインサイダー取引ではないものの、内部をよく知るものしか買えない状況といってよいだろう。これが、3段上げの1段目における主な買い手である。 では、2段目の上昇の主な買い手はどのような投資家であるのだろうか。 日産自動車の改革がうまくいき、将来株価が上昇するであろうという、プロが出した分析結果が、一般投資家に届くわけがない。自分たちが多額の経費をかけ、詳細に分析した結果を、どこの誰が無料で公表するというのだ。 3段上げの最終段(3段目)はどうであろうか。
その後再上昇して、高値を抜いた日産自動車ではあるが、今、高値にあるからよいのでは株式で利益を上げることは不可能だ。いったんは、資産が半分になった事実をしっかり受け止めて、買う(売る)べきポイントを学んでいただきたいのである。株価が上昇する際の基本3段上げについて、右図にまとめたので参照していただきたい。 その中で投資をおこなうのに最も適しているのはどこであろうか。 確かに1段目の上昇時にうまく買うことができれば、大きな利益を望める。しかし、それは大底をとらえるということで、下落過程の一時的な上昇である場合も多く、「天井三日、底百日」の格言の如くたいへん難しい。高リスクといえよう。 更に、2段目の上昇は1段目に比べて短期間に急上昇する傾向がある。投資効率が高いのである(どれぐらいの時間で、どの程度資産が増減したか)。 株価の上昇過程を3段上げを基本として記述した。しかし、実際の相場では必ずしも3段で上昇するわけではないし、その理由もここに記述したばかりではない。 将棋やサッカーの対戦方法、あるいは英語で会話するということでも同じだ。複雑なことになればなるほど、基本が大事なのである。基本をしっかりマスターして、はじめてその応用が理解できる。
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